マンガ・第4回 “描いて終わり”にしない。マンガ制作力の磨き方
2027年4月に新設されるマンガ・アニメクリエイション学科。マンガ部門の顧問に就任された青木治道先生の第4回コラムを掲載しました。青木先生は長年、関西SFマンガ界を支え、『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』の作者・士郎正宗先生を見出したことでも知られています。マンガ制作の未来や、プロのマンガ家として活躍するために必要な資質について、全6回にわたってお届けします。
マンガ家を目指すなら、たくさんの物語に触れましょう。
映画、アニメ、小説、ドラマ——どんな形でも構いません。たくさんのストーリーに出会うことが、マンガ家になるための勉強になり、同時に創作の力になります。また、ただ「面白かった」で終わらせず、なぜ、この場面で引き込まれたのか。なぜ、このキャラクターに感情移入したのか。前回お伝えした「起承転結」を意識してストーリーを紐解ければ「面白さの作り方」も少しずつ見えてくるはずです。
また作品を描くうえで、勉強や教養もとても大事です。
SF作品を書くなら、科学的な知識はあったほうがいい。歴史ものなら、時代背景や文化について学ぶ必要があります。なお歴史マンガは、ある程度技術が身についてから挑戦したほうが良いと私は思います。というのも、残っている資料が限られているからです。貴族の服装は記録に残っていても、一般の人々がどんな服装をしていたのかなど、わかっていないことも多く、最後は「想像して描く」しかありません。でもその想像には、土台となる知識のインプットが必要です。知識が足りないまま描いてしまうと、不自然さが残り、読者も物語の世界に没頭できません。 そして、もう一つ。マンガ家デビューを目指す人は、どうしても「最初の一作」を完成させることに集中しがちです。でも本当のスタートは、デビュー後です。マンガ家人生は、一作で終わりません。だからこそ、次の作品、そのまた次の作品まで考えておきましょう。ストーリーまではいかなくても、デビュー後も10年は続けられるネタ作りをして「描き続けられる人」にならなければなりません。
青木治道先生 プロフィール
株式会社青心社代表取締役。関西大学SF研究会創設者。大阪市西区に株式会社青心社を設立。特に士郎正宗氏の初期作品である『アップルシード』をはじめとする著作を多数出版。活字部門である「青心社文庫」レーベルでは、H.P.ラヴクラフトのクトゥルフ神話シリーズを翻訳出版するなど、SFファンにとって価値ある作品を提供している。