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マンガ・アニメ

第2回 プロになれる人は何が違う? 編集者が見る“考え方”

2027年4月に新設されるマンガ・アニメクリエイション学科。マンガ部門の顧問に就任された青木治道先生の第2回コラムを掲載しました。青木先生は長年、関西SFマンガ界を支え、『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』の作者・士郎正宗先生を見出したことでも知られています。

新人の作品を見る時、編集者は「絵が上手いかどうか」だけを見ているわけではありません。その人がどこまで「世界」を描こうとしているかを判断します。
私は、士郎正宗先生が同人誌で発表していた『ブラックマジック』を読んで、作品制作を依頼しました。その後、1冊まるごと描き下ろしで発表となったのが『アップルシード』です。制作を進める中で、私がお伝えしたのは、「バックボーンを考えること」でした。フィクションであっても、「なぜそうなっているのか」という筋を通さなければなりません。発想だけが先行した設定や、つじつまの合わない描写は、読者の違和感となり、読み進めにくくなるからです。
背景を描く時も同じです。マンガの背景は、空白を埋めるものではなく「その人物が、そこで生きている」と感じさせるためのものです。主人公の部屋のどこに窓があるのか、ベッドや机はどんな風に置かれているのかまで考えます。映画であれば、美術スタッフがセットを用意してくれます。でもマンガは違います。世界そのものを、マンガ家が自分の手で作りあげなければなりません。だからこそパースの理解といった基礎がとても重要になります。日々、いろいろなものを観察する癖をつけましょう。
士郎先生は、『ブラックマジック』から『アップルシード』までの間に、プロである私たちが驚くほどに、画力を高めてこられました。描き続ければ、画力は伸びます。でも、その“伸び”には、その人が積み重ねてきた努力や、作品への向き合い方が表れるのではないでしょうか。だからこそ、地道な基礎練習にも真剣に取り組んでください。その積み重ねが、作品の世界に説得力を生み出してくれます。

青木治道先生 プロフィール

株式会社青心社代表取締役。関西大学SF研究会創設者。大阪市西区に株式会社青心社を設立。特に士郎正宗氏の初期作品である『アップルシード』をはじめとする著作を多数出版。活字部門である「青心社文庫」レーベルでは、H.P.ラヴクラフトのクトゥルフ神話シリーズを翻訳出版するなど、SFファンにとって価値ある作品を提供している。